りけいのり

かがくをやさしくおもしろく

【YouTube依存】もうやめたい!! そんなあなたのための記事。

本日も 、りけいのりがお届けします。

 

今回の記事は、コングロマリット"Google"の保有する化け物、YouTubeに関して。

以前、YouTubeの依存性は、なぜこれだけ高いのか、ということについて書きました。

未だ読んでない方は、こちらを読むとYouTubeに対する理解が深まります

 

www.rek2u.com

 

本記事の対象読者は、特に、

  • YouTubeに趣味の時間を奪われるのはもうたくさん!!
  • YouTubeを適度に楽しめる人間になりたい。
  • 依存性の高い趣味から脱却したい。

そんなあなたに書きます。

f:id:ReK2Science:20200908181915p:plain

 

YouTubeを適度に楽しみたい。そんな時はどうすれば?

認知行動療法を応用

まずは、認知行動療法の概念を取り入れます。

認知行動療法とは、問題を具体的な行動として捉え、(中略) 問題解決のための治療目的を具体的に明確にし、その変容を目指す1)

つまり、

  • 自分にとって何が問題なのか明確に認識・理解をする
  • 問題として挙げられた行動を変えるための行動を起こす

ということが大切になります。

 

そこで、まずは、

  • 脳科学からみた習慣の形成
  • 生物の生存優位性と習慣

に迫ります。YouTube依存に一見関係なさそうなトピックも含まれていそうですが、乗り掛かった舟です。お付き合いください。

習慣の形成過程を脳科学から

習慣を語るにおいて、脳科学を欠かすことはできません。脳は、皆さんご存知の通り、神経細胞と脂質と水分の塊で構成されており、人間を人間たらしめる臓器であると言えるでしょう。脳は、性格を始めとしたあなたの特徴を決定します。今回の記事に対応する脳の部位としては、前頭連合野が考えられます。

 

前頭連合野: 計画や将来の展望を考える際に重要とな脳の一部分。人間の性格に関係していると考えられている2)

 

先天的に決められた遺伝情報(DNAの塩基配列)に対して、脳は後天的に獲得され伝達される情報(ミーム)を、その神経細胞のネットワークにより記憶しているのです。

 

そして、行動や習慣を変化させることは、すなわち脳の神経回路を物質的に組み替えることに同じです。だから、意味の無い文字列の羅列よりも、意味のある文章の方が覚えやすかったりします。何故なら、既存のネットワークを利用しやすく、意味記憶として覚えやすい為です。

 

よって、原理的に習慣を変容させるには時間がかかるのです。

 

ホメオスタシスから習慣を捉える

 ホメオスタシスは、すべての生き物に共通する仕組みです。高校にて生物を学んだことのある人にとっては懐かしい響きかもしれませんね。

 

ホメオスタシス: 生物の体内外を区別したときに、外界の変化に対して内界の状態を一定、恒常に保とうとする生物の性質。

 

ざっくり今回の話に当てはめると、習慣化された状態は人間にとっての恒常性が保たれた、安定な状態であると言えるでしょう。

f:id:ReK2Science:20200908184906p:plain

井戸型ポテンシャルって感じですね!! 習慣を変えようとすると、ホメオスタシスが働いて、その生活習慣の変化を食い止めようとするのです。

 

習慣を変えようとすると体は抵抗してきます。それは...

  • 嫌だという感情が発生
  • 禁断症状が出てくる
  • YouTubeの動画を見ている夢を見る

など、様々なサインで分かると思います。このようにして、衝動的、感情的な発作が生じると考えられます。それではどうすれば良いのか。それは、

  • 少しずつ、わからないくらいのスピードで
  • 悪習慣を自分の求める習慣に置き換え
  • 気合と根性に頼らない

ということです。これが、一番伝えたかったことです。これが全てだと思います。

 

少しずつでないと、ダイエットでいうリバウンドに襲われます。

悪習慣という脳の構造に由来する問題を、良い習慣という新たな脳の構造に置き換えます。ネットワーク、システムにはシステムで対抗するのです。

 

感情に対抗するのは、これもまた習慣です。習慣化のプロセスを経た行為に対して、

脳は鈍感になる性質

があります。筋トレを継続して行っていると、徐々に筋トレに対する心理的障壁が下がり、行動を起こすのに必要なエネルギーも小さくなるのと同じです。

 

習慣化には、嫌だとい感情を薄める作用があるのです。

記録をつける。話はそれから。

YouTubeの生活に対する影響

それでは、YouTubeの生活に対する影響を計ってみましょう。1年は、時間数に換算すると...

  • 365 day/year ☓ 24 hour/day =  8760 hour  ...①

よってあなたには8760時間が与えられています。

 

続いて、控除されるべき時間について考えます。これは、人それぞれ異なる値が算出される作業です。ここでは、一日あたり...

  • 睡眠時間 7hours
  • 食事(3食) 1hour
  • お風呂 0.5 hour
  • 身支度 0.5 hour

として、9時間の固定された時間を仮定します。すると1年あたり...

  • 365 day/year ☓ 9 hour/day = 3285 hour  ...②

となります。①、②より正味の時間を求めると、

  • 8760-3285 = 5475 hour

となります。割合にして、人生のうちの63%が可処分な時間と言えます。つまり、読んでいるあなたが30歳で、寿命が80歳だとすると、残された時間は50年。さらに可処分時間の割合を考慮すると残された時間は31.5年という計算になるのです。

 

さらに、YouTubeへの時間投資を考えてみます。

 

YouTube依存を例に取るので, 1日2時間の投資をしているとしましょう。すると1年あたり...

  • 365 day/year ☓ 2 hour/day = 730 hour

の時間を投資していることになります。30.4日に相当するこの時間、別のなにかに使えたら、たいていのことってできそうじゃないですか? さらに、1年、そして1日の12分の1をYouTubeに費やしている計算になるのです。さらに可処分時間で規格化すると...

(730 hour / 5475 hor ) ☓ 100 = 13.3 %

となります。これからこの生活で人生を歩むことを考えると、

 

実に13%はYouTubeでの娯楽に捧げることになる!!!!!!!!

 

のです。その時間は、YouTubeアルゴリズムにより換金され、より顧客を効率的に捕まえるテクノロジーと運営陣の懐に回るのです。それでは、この時間の代わりに何をするのが良いのでしょうか。理想は...

  • 自分の能力恒常のための投資
  • 多様なエンタメに触れる
  • 運動してみる
  • プログラミングの練習をしてみる
  • YouTubeを利用する人間になる。

とかですね。睡眠時間に回すのも手かもしれません。

 

ここで大切なのは、いきなりすべてを置き換えようと思わないことです。1日5分置き換えるだけでも、一ヶ月後に1時間は置き換えられます。一歩一歩、毎日小さい歩幅で継続することが大切です。

記録しよう。行動を起こそう。

それでは、行動を起こしましょう。

  • ペンを用意してください。
  • 紙を用意してください。
  • 紙に線を引いてください。
  • 今月の日付を1カ月分、書いてください。
  • 今日の終わりに、今日見たYouTubeの動画時間を、大体でよいので記入してください (例: 90min)。

ということを、毎日続けてみます。見える化をします。そして

  1. 一週間今のままYouTubeを観る生活を続けて、視聴時間を上のように集計する
  2. 集計結果をもとに無理のない次週の目標を立てる

という繰り返しです。

 

そして、もう一つの作戦。それはスマホ利用時間、利用場所を決めるということです。せっかく便利なスマホを、そんなことしてはスマホの意味がないと思うあなた。そのスマホによって、人生のありとあらゆる時間を吸われているんです

 

スマホはいわば、

スクリーン上の遊園地

とでもいえましょうか。

f:id:ReK2Science:20200908191217p:plain

例えば、こんなことができます。

  • 寝る前にスマホをいじってしまうので、寝室にスマホは持ち込まない
  • 普段はカバンの奥に入れておく。移動時間だけポケットへ入れておく。
  • 信頼できる人にパスワードを設定してもらい、利用時間制限を設ける。

など、その人にあったやり方があると思います。問題の発生源には近寄らないということです。

 

おわりに

 今回は、習慣化のメカニズムや、実際に習慣を変えるための方法について紹介しました。いずれの方法も、継続することで効果は必ず得られるでしょう。あとは、少しずつ、実行するのみです。

 

大切なあなたの人生を、あなたの時間を守りたい、りけいのりがお届けしました。

参考文献

1) 一般社団法人 日本認知・行動療法学会, 認知行動療法とは?, Access: 20200908.

認知行動療法とは | 一般社団法人 日本認知・行動療法学会

 

2) 徹底図解 脳の仕組み, 新星出版社, 24-25(性格と脳), 112-113(記憶① 記憶の分類と海馬の役割), 116-117(記憶③ 陳述記憶), 130-131(成長し続ける脳).

www.amazon.co.jp